平成30年度 「第2回島本町子ども・子育て会議」傍聴レポ ~保育(待機児童)危機宣言

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2018年11月28日(水)平成30年度第2回島本町子ども・子育て会議を傍聴してきましたのでレポをお届けします。
(※速報気味なので文が荒れ気味なのはご容赦を)
会議の傍聴のために役場に出向いたのは、軽く1年ぶりぐらいです。やっぱり平日だとなかなか行けません。

 

第2幼稚園の閉園問題の時から、町の子育て問題に関心を持ち、機会があれば、タウンミーティングや集まりに参加してきました。その活動を通して島本町の保育の待機児童と過密問題、それから耐震補強が終わってない問題が、重くのしかかっており、もう危機的状態だということはわかりすぎるぐらい分かっていました。

2幼閉園問題が勃発し保護者同士で話をした時には、あれ?これ第4保育園でも同じ事が起こるな、しかももっと酷い状態で、と思いましたが、自分たちの事で精一杯でそこまで余裕がなく、せいぜい警告を発するぐらいで素通りしてしまいました。これは今でも少し後悔しています。

そういうのもあって、風邪ぎみながら今回は「島本町子ども・子育て会議」を意地でも傍聴しにいくべきだという気持ちになり、無理をして(子供を見てもらって)行ってきました。あぁど平日キツイです。

 
一応「島本町子ども・子育て会議」って何?という方に説明をいれておきます。

島本町子ども・子育て会議は、「子ども・子育て支援法」(平成24年法律第65号)により市町村への設置が規定された(努力義務)ことから、条例に基づいて設置された附属機関です。この会議は学識経験者のある者や子どもの保護者、関係団体などから構成され、「島本町子ども・子育て支援事業計画」や子育て支援に関する総合的な推進などに関して意見をいただきます。

今回の会議では高浜学園園長や山崎幼稚園園長、商工会の会長などが選ばれています。このメンバーに町長並びに行政職員、関連業者が対峙する形の会議です。総勢で30名程度になるかと思います。

という会です。島本町はこの努力義務を果たしているということにはなります。行政に対しての、強制力はないが影響を与えるものという認識でいいですかね。

 
会場は島本町役場です。混むかもしれないので、早めに会場へ到着、6番でした。いつもは来ないらしい自民党などの議員さんも来ていたので、定刻には定員オーバーに。

後から渦中の第4保育園(以下4保)の保護者の方が何名も来ておられたので、変わろうかなと思っていましたが、すったもんだの末に、戸田議員や河野議員や中田議員が譲ってくれたので、最終的にぴったり定数の10人に、会議室に入ることができました。ありがとうございました。(なお会場外にスピーカーがあり入れなかった方はそこで音声を聞くことができます)

 

今回の案件は下記の5種類

 

1、島本町子ども・子育て支援事業計画書第3年次進捗状況調査について
2、島本町子ども・子育て支援事業計画作成に係る利用希望把握調査(ニーズ調査)
3、保育基盤整備加速化方針について
4、 小規模保育事業施設を整備・運営する事業者の募集について
5、その他

 

レポといいながらも、1、と2をさっさと飛ばします。1は事業計画の実施状況の進捗確認で前の会議傍聴に来ていないこともあって、あまりついていけず。
2は今度全戸配布?のニーズ調査というものが町で配布されます。そのアンケート用紙の雛形を全員でダメ出し。ページ数多すぎとか難しい漢字を使いすぎなどのもっともな意見が出ていました。聞きたい事多すぎて、書く人の事を考えてないアンケートあるあるです。バランスが難しいよね。
 

ちなみに、前回行われたニーズ調査では、島本町の回収率は48%ぐらいらしく、これは他の市町村からするとわりと高めなんだそうです。だいたい30%ぐらいが平均値、これは喜んでいいところだと思います。ただ50%は超えてこないとアンケートとしての価値はどうなんだという声もあり、改善して50%超えを目指すとのこと。みなさん配布されたら頑張って回答しましょう。
 

これを元に行政は政策を検討するので、実は重要です。忘れないでください。
 

で、ここからが本番。3の保育基盤整備加速化方針について。
 

3のトピックに移った瞬間に場の気配が変わります。ピリっとします。
今日はこれがあるから傍聴者も多く、注目度が高い会議になったわけです。

ここで行政が大急ぎで用意してきた資料が説明されます。
 
題して「島本町保育基盤整備加速化方針」
 
エヴァンゲリオンのタイトルのごとき漢字の連打です。
その資料の一部を貼り付けておきます。
 
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まずは行政側による説明です。いつものごとく子育て支援課の部長が説明を進めていきます。
 
先日、4保をいったん閉めること、来期の新規受け入れをしないこと、でも在園時の受け入れ先はまだ決まってませんという驚きのありえない告知をいきなり出した後で、どんな対策を、もとい加速化対策を、違った、加速化方針を打ち出してくるか、それが全員の注目でした。
 
内容は方針の名の通り保育基盤の整備、いわゆる箱物を作るのを加速化するというものでした。
つまりハード面の整備を加速させる計画です。
 
発表された増設分
小規模保育 
UR水瀬駅前(ドムドム、風車跡) H31年4月開園予定 19人
UR若山台(ボンシャンヌ跡) H31年4月開園予定 12人
第四保育所 移転新設(島本町庁舎前来客用駐車場) 90人 H33年度中開園予定
第四保育所跡地 民間認定こども園 150人 H33年度中開園予定
 
第四保育所耐震対策として、当初の予定は二幼跡のこども園に全児童を移動を予定していたが、安全性を重視し、町内各所の施設に分散して移動させる候補地
 
ふれあいセンター3F、4F
第一幼稚園
高浜学園
水瀬神宮境内保育園(新規)
小規模保育UR水無瀬(新規)
小規模保育UR若山台(新規)
 
ふれあいセンター3F、4Fというのがなかなか思い切った計画です。というよりも他に方法を思いつかなかったというのが本音のような気もします。
 

利用者予測もなかなか背筋が凍ります。この予測によれば、この計画が完璧に進んだとしても、待機児童と保留者(特定の園にいきたいので保留にしている幼児)合計で、平成31年と平成32年は待機児童が100人規模は避けられません。下手したら200人近くまでいく可能性があります。最短でも2年間は衝撃の待機児童数が確定です。行政は届け出などで人口をわりと正確に把握できるので、近似値になるでしょう。もう避けられない。
 
この資料/方針に対して、町民からの代表である2人の委員さん、商工会会長などから質問がとんどん飛んでいきます。
迎え撃つのは基本的におなじみK次長です。いつも通りの風景。
 
検討を要する項目の多さと複雑さから、質問も多岐にわたり、誰が正確にどういう質問があり回答があったのか記憶があやふな所もあります。正確な所は、「しまもと 町民の会」さんなどがアップしてくれるでしょうし、後日公開されるであろう議事録を見て欲しいと思います。
会議は3時間に及びました。
 
覚えている限りの印象に残った質問と答えを書いておきます。(思いだしたら追加します。)
 

・第4保育園の移転先が役場前来客用駐車場になっている、商工会の来客などもある危なくないか?

→敷地面積の全てを使わなくても90名規模の園は立てられる。門の場所などを工夫すれば大丈夫。

・ふれあいセンター内の3、4階は危ないんじゃないのか?あんな暗いところに園児を?

→改築はする。太陽光を取り込むなどを検討している、吹き抜けも防火シャッターを下ろすなどで対応する。

・高浜学園の園長が来られているが、受け入れることは可能なのか?そもそもいつこの話を聞いたのか?

→8月ぐらい。正直受け入れ体制が取れるかは今の所疑問、これ以上園児が増えるなら、年度末でやめたいと言っている保育士もいる。が、協力はしたい。今年は下見に来る保護者は例年の3倍ぐらいはいる口を揃えて言うのは「入れますかねー?」です。

・JR島本駅西地区の人口推計が3パターンあるのは何故?
→ただ単に500人づつ増やしているだけ(公的にはずっと1250人。私見ですがごまかしていると思います、人口推計はしているはず)

・プレハブという提案もあったはず、何故それができないのか。お金だったらそれは誤りだ。

→今すぐ移動するべきという考えによるもの。決してお金だけが問題なのではない。

・新規で作る小規模保育事業所は来季に間に合わせるということ?

→何としても間に合わせたい

・秋にできるという水瀬神宮内の園は4保の園児が優先的に入れるという認識でよいのか?

→そういう約束で業者に来てもらっているそう思ってもらっていい

・自分も含めてだが、どうしてこんなに酷い状態になるまで対策を建てなかったのか腹立たしい。プレハブなんて1年前にも建てるチャンスがあった。
4保で保護者が配布したアンケートを読んでいるでしょう(事前配布済み)ここにはそれぞれの人生がある。それをなんだと思っているのか。

→返す言葉もない。この内容は決定事項でもなく可能な限り4保の保護者の意向に答えたいとは思う。

・この膨大な内容を、今日見て、すぐにこれを了承することなどとてもできない。内容をもっと吟味させて欲しい

→当然のことだ。これは方針なので変更することはありえる。別の機会は設ける。

質問はどんどん続きます。町公募の2人が静と動という感じで良い感じで質問を繰り出します。質問は動の方を中心に回っていました。子供会議やタウンミーティングなど、いつもなら何を言われても正確無比に言い返すK次長劇場みたいになりますが、今日は違います。
この日のために、相当な下調べをしてきたことが伺えます。ものすごいツッコミです。

 

・これは町内に対しての施策だ、このような状態になっているのを知らずに新しいマンションや戸建てに引っ越して来る人についてはどう考えているのか?

・ここ数年は待機児童増加の歯止めが効かない。マンション業者がそんな情報発信するとは思えないので、これだけ島本の保育は大変なんだと報せる方法を持ってほしい

→ それについては私から説明します。

 

と、それまで一度も発言しなかった、山田町長が手を挙げて発言の許可を求めました。会議の後半の後半です。ハイライトとでもいうべきシーンでした。そして、私の思いとして近日中に「保育危機宣言を町内外に出します」と話しはじめました。
 
町長の言葉を要約すればこういう話です。

「これまで行政として、待機児童や過密保育に対応してきたが、後手後手になっているのを正式にお詫びする。そして今日まで、このような状況でも、なんとか保育の質を下げずに来れたのは、保育士配置基準を重要視し守ってきたおかげだ。それに加えて現場で奮闘してくれている保育士に感謝を伝えたい。この宣言と共に島本町の優れた保育環境を取り戻す。今後、職員一丸となってこの問題に取り組む。それをメディアを通して広く伝える。みなさんの協力をお願いしたい」
 
つまり詫びるところは詫び、独自の保育士配置基準を維持し保育士を守る。町外的には「島本町は数年は待機児童・過密保育を解消できる見込みがないから、子育て世代はそれを踏まえたうえで島本町移住をしてきて欲しい」とちゃんと宣言する用意があるということです。そして優れた保育環境を取り戻すという力強い宣言です。
 

12月5日追記:保育緊急事態宣言が正式に宣言されました。
 
保育緊急事態宣言
 

僕はずっとそういうものを出して欲しいと思っていました。保育状況が危機的な状態なのに、引っ越してくる人に対して、行政が何も言わないのは詐欺行為だと思っていたからです。何も知らずに自分のように保育園に入れずに悔しい思いをする人が減って欲しい。それは決して気が付かなかったという理由で責められる保護者のせいではない。
 
でも、まさかこの会議で、宣言が聞けるとは思っていませんでした。驚きで息が止まりそうでした。
山田町長、そういうのを待ってたんですよ。
 
1年半ほど前に、選挙で山田町長に変わって十分とは言えないものの、早く対策をしようという機運は感じました。
 
本来であれば、耐震化は1995年の阪神大震災のおり、耐震の重要性がクローズアップされた時に取り掛かるべき問題です。
言ってもしょうがないですが、10年前には完了しておくべきことです。

出された加速化方針が実現可能か、問題はどこにあるのかはまだ検討が必要です。保護者を置き去りにしたものの、数ヶ月でとりあえずの形にはしてきました。そこはとても評価できます。

 

リーダーとは「希望を配る人」のことだ、と誰かが教えてくれました。この日の町長にはその資質がありました。
 
行政の担当課は、そう言う町長をしっかり支えてもらいたい。

 
ただ、これで4保保護者が納得するかと言われればしないと思います。4保保護者会では1所での全員移動を希望しているとも聞いています。

会議を聞く限り、行政は保護者と対話をするつもりでいます。ぜひとも4保の保護者の方には、話し合いをして要求を出して欲しいと思います。

そして余談ですが、保育士基準配置を下げろという悪手を連呼している、現場を知らずに何聞いてたんだ、もっと勉強しろよと思える議員もいます。ピンチなんだから譲り合えとのことらしい。

譲り合えって聞こえはいいけど、失策を現場に押し付けているんですよそれ。過密って言ってるでしょ?保護者も保育士も全く悪くない、悪いのは用意できなかった行政や議会や、我々大人だということです。とりあえず現場を見に行ってきてもらいたい。

民間から参加した動の方がこの意見に対する反論として「こどもの人権に関わることで『譲り合い』はできない」と一喝。3時間も集中し続けて、土壇場でよくこんな素晴らしい発言できるなと。凄いです。

正直であること、誠実であること。それだけが僕の心を打ちます。

傍聴に行ってよかったなと思います。

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