五つのパンと二匹の魚
6月30日に「JR島本駅西の高層マンション建設計画の見直し」を求める署名活動の第4次締め切りがあり、集計をした結果、署名数が5000筆を超えました。
5000筆超えという数は、署名活動を行う最初の頃に目標として立てた数です。その時は途方もないなと思っていました。良くて3000筆ぐらいじゃないかと思っていたので、感慨深いものがあります。
ホームページでは10000筆とかなり高い目標を掲げているので、まだ半分じゃないと言われそうですが、5000筆と言えばなかなかの集まり具合です。大阪厚生年金会館(今はオリックス劇場か)で満員立ち見のライブが2回出来ます。そしてキリストが聖書において五つのパンと二匹の魚で救ったと書かれている人々の数だったりします。確か。
この署名活動が大事な一方で、住民意見の表明という点で伝えておきたい事があります。
「子ども子育て支援事業に関するニーズ調査」というヤツです。島本町在住で小学生以下のお子さんのいるすべての世帯2895件が対象になったアンケートです。書いたの覚えてますか?僕は覚えています。その報告書です。公表されたのは4月だったでしょうか。
島本町 子ども・子育て支援事業に関する ニーズ調査報告書(pdf)
そこの自由回答欄(105ページ辺りから始まります)の75ページ分のうち10ページが保育幼稚園についての行政への苦情&要望があり、さらにマンション建設に対する不満が75ページのうち7ページ分を占めています。
この意見書は、保育ニーズのアンケート調査なのでマンション建設についての項目はなかったのですが、わざわざそこに子育て世代が意見を書いています。そんなことは普通ありえません。これを見るまで僕は開発を賛成している人も一定数いるのだろうという認識に立っていましたが、消し飛びました。
子育ての世代の意見は、圧倒的に「もうマンションいらん」です。現役の子育て世代がいらんって言ってるのです。もう一回言いますが圧倒的です。検討の余地なしです。
これまで行政は、マンションを建てることで子育て世代をさらに呼び込むとか言ってますが、現在住んでいる人が、もう保育状況悪化させるな、生活無理。本当にいらんと言っているのです。というわけで建てるマンション、子育て世代の誰が買うんだそれ。まぁ保育が必要ない世代ならウエルカムでしょうか。やっぱり便利だし。そして町内での移動だったらわかります。
しかし島本町のシンボル的な農地を破壊して作るマンション・・。自然がいっぱい!とか、分譲ちらしに書くんでしょうか。
最近、関東でマンションが余り始めている記事もでています。三宮や西宮など、ついにマンション建設を規制する自治体も増えてきました。あと2年もすれば、この流れはより顕著になってくるでしょう。駅前だから安くすれば売れるとは思いますが、既に建っているアーバン島本シティが売れ残っているという情報もあります。
アーバン島本シティ(関電グラウンド跡)264棟中139棟 入居率53%だそうで。入居していないだけで、もう少し売れてるらしいですが。あそこの環境は良い(区画変更で微妙なことになってきましたが・・)と思っていたので、本当に意外です。
というわけで署名+ニーズ調査で合わせ技1本です。行政は「こんなの一部だけ」とか相変わらず言ってるみたいですが、一度、開発賛成の署名を集めてみたらどうでしょうか?いくら集まるか見ものです。
で、ここまでが前説です。
今日の本題は、こういうことが行政に全然響かないのはなんででしょうか。という話です。
ここでまず朗報を伝えておきます。、一応、彼らに意見は伝わってるんです。膨大な町民の労力で届けられた意見ですから、これはさすがに分からないと。で、分かってて、ずぅと知らんぷりしている。いつものように都合の良い意見だけをかいつまんで利用しています。
いくら署名を集めて持って行っても、要望書を提出しても、公述しても、ワークショップに参加しても、直接文句言っても、どれだけもっともな意見を伝えても。取り合わない。なぜでしょうね?
話は戻りますが、5000筆というのは、重いです。呼びかけ人の僕の肩にも、のしかかります。
この数になって一人一人の重さを初めて感じました。それぞれの顔が見えるようです。何とかしてくれるよねという期待がある。
そう、5000人の方が考え直してくれと書いてくれたということです。署名用紙には住所の欄もあり単なる名前集めではありません。
そして、一方で、知らんぷりしている人にも顔がある、つまり行政の人たちにも顔がある。それをいい加減知った方がいいんじゃないでしょうか。これは反則なんでしょうか?正しくないやり方なんでしょうか?何故、この開発話を、選挙で選んだわけでもない行政の担当職員が勝手に進めるのか、どうして平行線なのか僕なりの意見を書いておきます。真偽はご自分で確かめてください。
1、お金(財政)の理由
この計画はお金がかからない(町の財政を傷めない)という触れ込みの計画だからです。
そして、地権者と業者(フジタ)が儲かる(これは少し怪しくなってきましたが)仕組みになっています。
フジタは地権者に対して、都市区画整理をすれば土地の価格が上がる、で上がった値段で業者は土地を買い取ります。島本町はその時にお金を出さなくていい。出すのは下水道の整備費のみでいい。これはお得。ただその分買い取る金額があがるから、建てるマンションは高層にしなければならない。部屋をたくさん作って売らないと元が取れないから。
こういう計画です。とりあえず瞬間的に町の財政において西側開発にお金があまりかからない、だから実行するという理屈です。
ここには、まるっきり島本町をどういう町にしたいかとかそういう考えはありません。散々聞いていた田んぼ後継者うんぬんの話などもはや関係ないです。(有志で検討していた、法人による存続の検討は拒否されています)儲かるから、お金かからないから進めるというだけです。
もちろんお金は強力な理由です。抗いがたい額です。正しく儲ける事は全くもって悪い事ではないです。むしろ良い事です。ですがそれを一番の理由にしているのであれば、これはもう町づくりとしては本末転倒です。
で、無料より怖いものはない。結果的に、町のみなさんが指摘する将来間接的に発生するであろう財政的負担は我々町民とその子供たちの所にきます。責任を取らされるのは行政の職員じゃないし、地権者でもない。無責任な決定で被害を被るのは我々だということです。そして町の、自然と水のイメージは失墜します。
想定する未来がどうなるかというと、学校のキャパオーバーで問題が起こっても整備しない。保育は過密のまま。お金がないから対策できないと、平気で言うのが目に見えます。住民の要求については、現在同様に知らんぷりを続ける事でこの開発計画は成り立ちます。そしてお金ないからできない代わりとして「住民自治」を「住民による自己責任」にすり替えて言いだすでしょう。聞いたことありますよねこれ。
もしくはあんまり売れない場合も考えられます。その場合は単に町の環境が悪化するだけ、未来には維持できないマンションが残ります。
ちなみに、島本町はお金ないと言いますがあります。毎年100億ぐらい税収があります。計画にお金使わなくていいならいいじゃない、それなら進めようとか、勘弁してください。業者からしたらチョロすぎます。ここは大事な場所です。無責任にもほどがある。
2、面倒だから
島本町の職員は少ないです。だから日々の業務で精一杯。ということになっています。
ずっと分からなかったんですが、実際、この計画を行政側で進めているのは誰なんでしょうか?
はっきり書いておきます。副町長、総合政策部長、都市創造部長、次長、総務部長辺りの5.6人です。これまで何度も計画を変更できるタイミングがありましたが、見事に町民の意見を潰してきました。名前は書きませんが、調べればわかります。島本町の行政は本当に一握りの人による面倒くさい事はやらん、やりたくなければ拒否するレベルで運営されています。超内向きです。
議会はやり過ごせばOKで、後(町民)は知らんという感じです。それどころか、前に新聞記事であったように、某部長と数名が選挙にある程度介入しかかっていました。告発で発覚しましたが、法的にグレーであるという理由で単なる注意処分で終わりました。つまりほぼ無罪。
僕はかれこれ2年半ぐらい、なんやかんやで行政の態度を真剣に見ているのでもう分かります。やり方が普通じゃないです。顧客無視して、内向きになった利益追求型の会社を知ってますか?知ってる方なら、あぁーあれかとすぐわかるでしょう。あの感じです。顧客を見ていない会社まんまです。役場の都合>住民です。
そして「自分たちの方が正しい」と平気で考えています。クレームしか言ってこないあなた方町民より、町に住んでいない外から冷静に見れる私たちの方が正しいんだと。島本町の幹部はそれぐらい酷いことになっています。一度解体した方がいいと思えるぐらいです。もちろん全員ではないですが。そういう人の肩身はとても狭そうで辛そうです。立派なのに。
じゃあ肝心の町長は何してるん?となりますが、本来住民の意見を代弁するはずの町長は決められない、優しいから意見を押しとおせない。そういう町長です。残念ながら。そして彼らはそういう性格を利用しています。僕に言えるのはそれだけです。もう選挙によって代表を選ぶ、という間接民主主義すら危機的状態です。
3、10年以上ずっと暖めてきた計画だから。
あそこに駅があるのがずっと不思議でした。確かに便利ですが、あれいらなくない?と何度も思ったものです。何しろ水無瀬駅、大山崎駅、山崎駅と至近距離に3つ鉄道の駅があります。
10年前に島本駅を建てたのは、桜井の地をなんとか処分したかったからです。あの場所はどん詰まりで、土地としては田畑として利用するしか有効的な方法がなかった。周りの土地はどんどん開発されていくのに自分たちだけ取り残されている。
そこで登場したのが駅を作るという離れ業です。その時に同時に開発できていたら話は違っていたかもしれません。しかしその時の西大和学園を中心とした、開発話は立ち消えになりました。業者選択のプロセスでまとまらなかったと聞いています。でもその時の計画は残り、それを無理やり合わせてきたのが今のマンション計画です。整合性が全然取れてない計画です。今の計画があちこちおかしいのはその時の流れのまま進めているからです。
見上げた根性とは思いますが、無理がある。
そして、最大の誤算は、駅を作ることによってあそこの風景が美しい事が知れ渡った事にあります。
そういう流れで、前町長の代から、ずっと長い間進めてきた、重鎮の議員の推しもあったという理由で、開発の方向は変える事ができないと言うものです。もう既にマンションが時代遅れな計画だと知っているのに間違っていると分かっているのに変えられない。一度決めたことを変えるのがとことん苦手です。自分が止めるは嫌で、誰も責任取りたがらない。
だから、いくら町の理想や未来の町、環境、生き物たちの保護、保育の質、まちづくり条例なんて話をしても、そりゃあすれ違いです。論点が違うのだから。行政幹部は町長や議会を抑えておけば、後はどうにでもなる(無視すればいい)ので、言いたい放題。無視し放題です。
これは僕が見知った事です。関わっていると色んなことを教えてもらえます。誇張があるかもしれませんが、概ね正しいはずです。
なお、もし違ってたら違ってると教えてください。そうすれば僕はもっとましな気持ちになれるでしょうから。
そして、今月7月末に、ついに都市計画審議会が開催されるそうです。もう賽は投げられました。そしてこれがデッドラインです。
署名提出や請願書の際に、行政は審議会を開き計画は進めるが、なるべく町民の意見を取り入れるようにするという謎の発言をしています。完全に矛盾しています。計画を進めたら、どうやって取り入れるのか僕にはわかりません。審議会を通過したら、意見なんか入り込む余地がどこにあるのか。この審議会を否定して意見を取りいれることなどどうやってできるのか。
今、この状況で無理だと言っている人が出来るわけがありません。審議会後はハードルがグーンと上がります。町民の要求はマンション建設を見直してくださいと言っているんです。いったい何を取り入れられるんでしょうか?
島本駅西側にマンションが建ったら、次は高浜にマンションだそうです。そして次はNTT跡地ですか、山崎ですか、若山台ですか。
知ってますか?あそこと尺代辺りに毎年開発を狙った話が上がっているのを。
さて、これでもう島本町の行政について書くのは最後にします。
この記事には前向きな話はありません。何度も何度も書き直したのに、ついに立派な意見は書けませんでした。
僕は今の島本町の役場に、とことんうんざりしています。でも、これ以上、憎みたくないし、嫌いになりたくありません。
好きで住んだ町なので。
だから黙って退場するのが礼儀かとも思いますが、僕はそんなにきれいな性格してません。
どろどろしたものを、しっかり抱えています。だからこうして吐いておきます。
今日も家から町の風景が良く見えます。やはり山と緑がきれいです。夏で緑が多く繁っている。
僕の想いなどとは全く関係なく、水は水で、木は木で、土は土そのままであって欲しいと思います。
コメント
いつも「しまもとフォーラム」に顔を出させてもらっている敷島といいます(ジイさんです)。
駅西の開発について、非常に的確なご指摘をまとめていただき、感謝し、またまったく同感です。(知人にも紹介させてもらいました)
で、お金の話で少しコメントさせてもらいます。
「誰にも負担をかけない事業だ」というのは違います。新しいマンションを建て業者・地権者がもうかる、という裏に、すでに島本町にいる住民が持っている(住んでいる)不動産価値が下がる(売値がどんどん下がっていく)という事態が、現にすぐに発生します。
つまり、業者・地権者がもうかるそのお金は、住民が現在持っている財産から”収奪”されることによって生まれる(しかも、合法的に)、という言い方ができるでしょう。
”右肩上がり”の時代であれば、ウィンウィンの関係になりえたのかもしれませんが、人口減少社会においては、不動産価値は”奪い合い”の時代に入っています。町全体の価値の向上(少なくとも下落の緩和)に努めない行政は、住民にとって百害あって一利なしです。奪われる方は、黙っていられません。
と、私は思ってます。
敷島さん
何度かお会いした事ありますね。
コメントありがとうございます。
「誰にも負担をかけない事業だ」どころか、大いに負担がかかる事業だという事を認識しています。「業者・地権者がもうかるそのお金は、住民が現在持っている財産から”収奪”されることによって生まれる」については、その通りかと思います。そして奪われるのは財産だけでなく、心地よさや信頼関係といった、数字には表せない価値や町民の活力というものも同時に奪われていくように思います。
そして、町税を使う部分は上下水整備費だけと書きましたが、悪くすると病院を誘致するための道路整備費やら、マンションの階数を下げるためだと称して、補助金などの名目で税金が使われてしまう可能性すらあります。悲観的かもしれませんが。