涙も汗も流れ落ちなければならない 前編
2018年1月19日(土)に、島本町ふれあいセンターで行われた「JR島本駅西地区の都市計画に係る住民説明会」に参加してきました。西側に広がる田園風景の開発についての説明会です。
知らない人のために、少しこの田んぼの話をすると、JRに乗って大阪から京都の間を移動すれば、この西側地区の田んぼが見えてきます。大阪から20分、京都から15分程度で到着できる駅前で、こんなに田んぼを維持している場所は他になく、特殊な地域です。春にはレンゲの里という名で見事なレンゲ畑になったり、5月にはこいのぼりが並ぶ所です。すぐ横には小学校があり島本高校の通学路にもなっています。
それが地権者の高齢化や後継者不在、また駅前の一等地、あるいは田舎すぎてカッコ悪いという判断により、平成22年頃から土地開発についての取り組みが行われてきました。平成20年の島本駅の設置から考えるともっと昔からかもしれません。
今回、この西側地域を開発できる市街化区域に変えて、大部分を宅地に変更するという話が町役場から示されました。
この話の何が凄いって、この計画がおおっぴらに公表されたのが、今回が初めてという所です。今までは出されても黒塗りだったり、請求が却下されたりと、何も伝わらずわりとブラックボックスな状態でした。しかも今年の3月には審議会がある(ここでほぼ内容を決める?)といいます。町民の立場に立つという新町長の方針がなければ、今回の説明会すら開かれなかった確率が高かったと思います。
ちなみに、2016年時に噂で飛び交っていたこの開発計画をいったん止めて、田んぼを残す方針で再検討して欲しいという署名活動が行われました。その時に2601名の署名が集まりましたが、結果は議会で否決。この時に多少関わりましたが、残念な結果に終わっています。参考として2つリンクを張っておきます。ところで、すいません今日もブログ長いです。なので恒例の前編、後編仕様になっております。
その時の、経緯はリンク先で確認ください。
>>「え?JR島本駅と三小の間の田んぼがなくなるの?!」JR島本駅西側の田んぼの開発に関しての署名活動のお知らせ
で、説明会の話に戻ります。
正直に言うとこの説明会には、最初は気乗りがしていませんでした。理由はいくつかありますが、主には昨年の第2幼稚園閉園問題で疲弊してしまい精神的に耐えられるか不安だったのと、基本的に宅地にする計画に反対で田んぼを残してほしいと考えている。で、それを実現させる案が僕には思いついていない。つまり今の所「勝ち目がない」状態だという感覚です。
説明会に先行して、公開された計画書では、ほとんど計画決定寸前まで進んでいて、驚くことに開発業者まで決定済。あとは便宜上説明会をしておいて、3月に審議会。大阪府にもっていくという流れ。なんというか相当厳しい状態です。そういうわけで僕は多少諦めていたのだと思います。
>> 説明会資料住民説明会資料
それでもコメントをくれる人がいたり、開発内容は間違ってるので何とかしようという人がいるのを見て、気持ちを入れ替えました。
説明会もおそらく50人ぐらいは来るだろうから、チャンスがあれば何か一言ぐらいは言ってみたいと思い、きちんと参加することにしました。
当日は、仕事で時間ぎりぎりに小走りで到着すると、ケリヤーホールの後ろの方の席はほとんど埋まっていて立ち見状態。前の方は席が開いていたので3列目に座りました。ちょうど説明をする役場の方々の真ん前です。話を聞くには特等席といえるでしょう。平日金曜の19時〜なのに大入り。300人ぐらいいたのではないかと思います。
しかし、座ってみると、しょっぱなから違和感。説明側に都市創造部の方々の姿しかありません。こんな大事な話に単独部署のみ?で、町長も不在。ついでに8時半には終了させると予告。さらに、この計画案はまだ仮のものですからと念押しアナウンスからスタート。嫌な予感だらけです。
まず、既に公開している計画案(リンク)をスライドで提示しながら説明が始まりました。
資料は一通り読んでいましたが、肉声を聞いてひとつひとつ確認していく作業です。
そして、大阪府のマスタープランの説明から都市計画の話に入りました。
あの地域を開発する、これまでの経緯と法的根拠の説明です。
資料は、そこかしこに矛盾を感じて突っ込みたい所が多々ありますが、役場がいったい何をしたいと考えているのかをちゃんと知りたいと思っていたので集中して聞いていました。
参加者の方もそんな感じがしました。
通り一編の説明が終わると質疑応答の時間が始まりました。
説明に30分以上費やしていたので、質疑の時間は1時間もなかったと思います。
途中までは、挙手して順番に発言していましたが、意見を言いたい方が多すぎるのと、役場の方の返答に対する不信や怒りが原因で、徐々にヒートアップ、やがてフリーダムに発言するようになってきました。
一言で言えば「大荒れ」
町民の話を聞く気も、質問に答える気もさらさらなさそうな役場側と、数年越しでようやくこういう機会が持てて、是が非でも話をきいてもらいたい町民のぶつかりあいです。そう、罰ゲームのような説明会を終わらせて帰りたい役場側と「今日からが議論のスタート」と思っている町民のぶつかり合いです。
ここから覚えてる限りの意見です。
(※8時30分には役場の方から強制的な終了通告を受けたので、ほとんどは議事録にはのってこないと思います)
・この案はいったいいつ誰が決めたのか?
・町民にしてみれば今日が話し合いのスタートだ。
・資料にも農地保全自然調和とあるれけど、今まで保全運動など十分にしてこなかったのはなんで?
・乱開発を防止するための開発が目的と言っているが、この案自体が乱開発。
・人口減少が確実なのに、高層マンション立てたところで、数十年たてば空き家だらけになる。
・都市計画審議会で審議したのがたったの10日。こんな重要な事をなんで十分検討したといえるの?
・この町にはまだ温かいものがあると思って引っ越してきた。こんな状態になっているなんて愕然としている。
・他の町との違いはこういう田んぼの存在があることにある。自分でそれを潰してどうするの?なんでどこにでもある町にしようとしてるの?
・意見は説明会後に町ホームページで募集するとあるが、今まで散々意見してきたのに、無視され続けている。信用できないから今日この場で答えて。
・町は待機児童などで困っているのに、この案にはそういう町の課題に対するものが全く盛り込まれていない。
・町役場で部署同士の連携が全くとれてない。今日もなんで一つの部署しか来てないの?
・あくまで決定事項ではないと書いているが3月の時点で審議会に通して、今年度中に確定って書いてる。言ってることがおかしい。
・にぎわい(商業地域)って、今まで今商売をしている人をあまり助けてこなかったのに、開発だけに力を入れてるのはなぜ?店を今ある店をつぶしたいの?そういうほかに波及する影響を全然考慮してないよ。
・小学校の敷地に道路があるけど校長先生知らなかったよ。プールなくなるの?
・なぜこんなに意見があるのに、次の説明会を検討するぐらいの言葉もないのか。この会、意味なくないですか?
だいだいこんな感じでした。
>> 追記:しまもと町民の会様が、説明会の話を録音?したものを丸ごと書き起こしてくれています。こちらで確認できます。
参加者全員が案に反対というわけではないと思いますが、推進や賛成を表明する意見は皆無でした。
8時30分終了の予定時間を理由に何度も何度も会の終わりを告げられましたが、その時点で3人ほど話しただけで、帰るわけもなく。ほとんどの方が居座って話を続けていました。殺伐とした中にも時々ユーモアみたいのもあって、その辺がこの近隣の人々の良い所です。
最後は、次回の説明会希望する住民側と、ぜったいに返事をするつもりもない担当部長との対立で終わっていました。
住民側がもう帰りましょう。説明会はちゃんと検討してくれると信じていますよと言う優しい方がおられて、それがこの会の落としどころになりました。今までこういう会がなかった事を考えると大きな前進ですが、肝心の開発の細かな内容についての質問は、ほとんど出ませんでした。無理もないですが。
余談ながら、規模は違えど、第2幼稚園問題の第1回目の教育委員会の説明会と雰囲気がそっくりでした。
あの時はお母さん方が同じように怒っていて、担当次長に猛攻撃という雰囲気でした。
どうしてこうなるんでしょうね。説明会を開くのが遅すぎて、開いたら開いたらで今度は話が早すぎる。
なんて似てるのか、それはもうデジャブ感が凄かったです。
今まで町民は役場や議員に任せきりだったし、役場の方々はこれまで町民の方をほとんど向いてこなかったんだなということを思い知りました。
(注:今の教育委員会は全然違う印象を持っていることを付け加えておきます。今はわりと信頼しています。)
長いので、予告通り後編に続きます。